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ステップ1:マイホーム予算はいくら?
STEP.01
「頭金」は2割以上用意する
住まいを購入するときには、少なくとも住宅価格の2割以上の「頭金」が必要だといわれています。これは、住宅ローンを貸し出す金融機関の多くが、融資割合を住宅価格の8割程度としているためです。
金融機関によってはそれを超えて貸し出すケースがありますが、資金計画の大原則は『なるべく頭金を増やしてローンの負担を少なくする』こと。仮に3,000万円の住宅を取得するときには、最低でも600万円以上の頭金を用意することになります。
「自己資金」は25%~30%以上必要
頭金とは別に「予備費」を用意しておくことも忘れてはなりません。
これは住まいの取得に伴ってかかってくる登録免許税や不動産取得税などの税金、火災保険や地震保険などの保険料、住宅ローンを借りるときの手数料などの「諸費用」に充てる分です。
諸費用として必要な金額は、取得する住宅のタイプなどによって異なります。一般に新築住宅を購入する場合は住宅価格の3%~5%程度、中古住宅を購入する場合は5%~10%程度を目安にしておくとよいといわれています。
このほか引っ越し費用がかかりますし、新居への入居に合わせ家具や調度品を購入する方も少なくないでしょう。
また、買い換える場合はいったん賃貸住宅を借りて仮住まいすることもあり、賃貸料が必要になってきます。
これらを考え合わせると、諸費用分として頭金とは別に住宅価格の1割程度を見積もっておくと無難でしょう。
したがって、先の頭金と合計すると「自己資金」として住宅価格の25%~30%程度を用意することになります。仮に3,000万円の住宅を取得する場合は750万円~900万円となります。
通常の不動産屋は「自己資金」を25%~30%以上必要だと、何かと自己資金を引き出そうとします。
弊社フラワーホームではお客様が、自己資金を負担する事の無い様、自己資金0円で御提案ならびに御案内を行っております。
いざ!という時の為にも、お客様へは極力、自己資金を負担させない様に致します。
住宅ローンの「返済可能額」を算出する
さて、住宅ローンを借りるときには、『自分たちはいくらまでなら無理なく返せるか』を基本におくことが大切です。
一般に税込み年収に占める住宅ローンの年間返済額は、25%以内におさめるとよいといわれています。仮に税込み年収が400万円の場合は、年間返済額は100万円以内が妥当ということになります。
しかし、これはあくまでも目安です。
自分たちに合った無理のない返済額を算出する際には、住宅を取得することで「不要になる支出」と「新たに発生する支出」を整理することからスタートさせましょう。
たとえば、いま賃貸住宅に住んでいる場合は、住宅を取得することで月々払っている賃料が不要になります。また、頭金づくりのために定期的に行っていた預貯金もとりあえず不要となります。駐車場を借りている方が、マイホームの取得に伴って自前の駐車場を確保できることになれば、その分を住宅ローンの返済に回すことができるでしょう。
逆に住宅を取得することで、固定資産税などがかかり、交通費が増えることもあるでしょう。また、マンションでは管理費や修繕積立金などがかかります。
これらのプラス・マイナスをチェックして、返済可能額を計算してみるのです。 図表は毎月返済額から逆算した住宅ローンの借入限度額です。
自分たちの返済可能額が月々10万円という人は、年利0.8%、35年返済という条件で借り入れた場合は、3,663万円が借入限度額となります。
これに用意できる頭金をプラスした金額が、あなたが「買える家の値段」となります。
あなたはいくらまで借りられる?
毎月返済額 | 0.8% | 1.2% |
---|---|---|
35年返済 | 35年返済 | |
5万円 | 1,831 | 1,714 |
6万円 | 2,197 | 2,056 |
7万円 | 2,563 | 2,399 |
8万円 | 2,929 | 2,742 |
9万円 | 3,295 | 3,085 |
10万円 | 3,662 | 3,428 |
11万円 | 4,028 | 3,770 |
12万円 | 4,394 | 4,113 |
13万円 | 4,760 | 4,456 |
14万円 | 5,127 | 4,799 |
15万円 | 5,493 | 5,142 |
ステップ2:住宅ローンはこう選ぶ
STEP.02
わずかな金利が大きな差額に
住宅ローンの金利は、わずかな違いでも大きな差額となって表れます。
図表1は1,000万円を借り入れたときの毎月返済額を試算したもの。ご覧のように1%違うだけでも毎月返済額は数千円の差となり、トータルでは百万円単位の差となります。
さらに借入金が2倍になれば、同様に返済額も2倍にハネ上がってしまいます。 また、表面金利は同じでも、その金利に保証料などを含んでいる場合と含んでいない場合があるので、金利の内容を金融機関にしっかり確認しましょう。
図表1 金利の違いで返済負担はこんなに異なる
年利 | 毎月返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
1% | 2万8,228円 | 1,185万5,999円 |
1.5% | 3万0,618円 | 1,285万9,746円 |
2% | 3万3,126円 | 1,391万3,036円 |
3% | 3万8,485円 | 1,616万3,707円 |
4% | 4万4,277円 | 1,859万6,539円 |
5% | 5万0,468円 | 2,119万6,882円 |
6% | 5万7,018円 | 2,394万7,967円 |
住宅ローンの金利
「金利」は住宅ローンの返済額を決める大事な要素です。また、住宅ローンには複数の金利タイプがあり、金利はそれぞれ異なります、自分の家計に合った金利タイプを選ぶためにも、まずは金利のしくみやタイプごとのメリット・デメリットを知ることが大切。ここでは、住宅ローン金利の決まり方や、金利の種類などをご紹介します。
金利タイプは大きく3つ
住宅ローンの金利タイプには、大きく3つのタイプがあります。それぞれの仕組みや特徴、メリット・デメリットを知っておきましょう。
金利の変動がない!「全期間固定金利型
その名のとおり、借り入れから、完済まで金利が変わらないタイプです。
借り入れ時に全期間の返済額が確定できることが最大の特徴です。
代表例はフラット35です。フラット35Sのように、段階的に金利が変わるものもありますが、将来の金利も借り入れ時に決まっているため、全期間固定金利型の一つになります。
特別な優遇期間のあと金利が変わるものもあります。
3つの金利タイプの中では金利は高めになります。
全期間固定金利型のメリット・デメリット
-
メリット
・毎月の返済額が変わらないので、ライフプランが立てやすい
・返済額が確定できて安心
・低金利時においては、完済まで低金利の恩恵を受けられる -
デメリット
・高金利時に選んだ場合、その後市場金利が低下しても、金利は高いままになってしまう
一定の期間の金利を固定できる!「固定金利期間選択型」
当初定めた期間の金利は変わらず、固定期間が終了する時、改めて金利タイプを選び直すものです。
当初固定期間は2年、3年、5年、10年、15年、20年などから選べます。金利は一般的に固定期間が短いほど低く、長いほど高くなります。
期間終了後は、変動金利、同じ固定金利期間選択型のどちらも選ぶことができ、その時点での金利に見直されます。
そのため、金利が上がっている場合、月々の返済額が増える可能性がある点に注意が必要です。期間の種類や期間終了後の選び方のルールは、金融機関によって違うので、あらかじめ確認しておきましょう。
固定期間選択型のメリット・デメリット
-
メリット
・ライフプランをもとにするなど、必要な期間は返済額を一定にできる
・全期間固定よりも金利を低くおさえられる -
デメリット
・固定期間終了時には、金利変動のリスクがある
・変動金利型のように返済額の増額幅を制限するルールがないため固定期間終了後、返済額が大きく増える可能性がある
半年ごとに金利を見直し!「変動金利型」
変動金利型の大きな特徴は、半年ごとに金利が見直されることです。また、一般的には3つの金利タイプの中では、一番金利が低くなっています。
5年間は毎回の返済額を変更しない、次の5年間の返済額は従前の返済額の1.25倍までとするというルールがあり、家計に急激な変化が起こらないよう配慮されています(一部の金融機関を除く)。とはいえ、金利が上昇すると、利息にあてられる部分が増え、元本がなかなか減らないということも。金利の上昇が大きいと、返済額全てが利息にあてられ、それでも利息に足りず未払い利息が発生する可能性があることも知っておきましょう。
変動金利型のメリット・デメリット
-
メリット
・金利が下がれば、返済額も少なくなり、金利下降場面では返済額が減る
・他の金利タイプに比べて金利が低い -
デメリット
・常に金利変化に対する不安がつきまとう
・急激な金利上昇期には未払い利息が生じる可能性がある
・将来の返済額や総返済額が読みづらく、長期的な計画が立てにくい
変動か固定か?どんな人に向いている?
どの金利タイプを選ぶかは多くの人が悩むところです。
返済額の多少や損得は、完済するまで結論が出ません。
金利や返済額だけでなく、リスクの受け入れ方や価値観、生活設計も金利タイプ選びの際には重要なポイントになります。
金利タイプ | こんな人に向いている |
---|---|
全期間固定金利型 |
|
固定金利期間選択型 |
|
変動金利型 |
|
住宅ローンの金利はどうやって決まるの?
金利は、各金融機関がそれぞれ独自に決めています。市場動向と販売の方針(キャンペーンなど)を基準に、毎月見直しがされています。
その月の金利は、月初に各金融機関のホームページなどで確認できます。
固定金利型と変動金利型はそれぞれ異なる指標を基準にしているため、金利の動きにも違いがあります。
「固定金利型」10年国債の動きに連動
固定期間が10年以上など長いものは、長期金利に影響されるところが大きくなります。長期金利が動く代表的な指標は新発10年ものの国債の利回りです。例えば株高になると、国債は売られ利回りは上昇します。また、世の中の景気がよくなると上昇傾向になります。新聞などに載る長期金利や日経平均株価の動きから予測ができます。
「変動金利型」日本銀行の経済政策に注目!
変動金利が動く代表的な指標は「無担保コールレート(オーバーナイトもの)」です。これは、日本銀行が民間の金融機関にお金を貸し出すときの金利で、現在は政策金利の役割もあります。日本銀行はこの政策金利を上げ下げして、景気をコントロールしています。日本銀行が金融緩和をはかれば低く、金融引き締めに動けば高くなるのが基本的な考え方です。新聞やテレビのニュースなどで、日本銀行の方針発表を確認することで、変動金利の動きをある程度予測できます。
借りた月の金利が適用される
住宅ローンの金利は毎月発表されていますが、実際に自分が借りる住宅ローンの金利はいつのものになるのでしょうか?ほとんどの金融機関は、ローンが実行される月の金利を適用します。そのため、契約後、引き渡しまでの期間が長い場合は、金利が大きく変わる場合もあるので、引き渡しの2ヶ月程度前に再度確認するようにしましょう。なお、財形住宅融資などのように申込時の金利というローンもあります。いつの金利が適用されるかを確認しておきましょう。
ステップ3:あなたにピッタリの住まい
STEP.03
マンションと一戸建て、どっちを選ぶか
本質的な違いに注目しよう
一般にマンションは鍵ひとつで外出できるなど、便利さを求める人に適しているといわれます。 一方、一戸建ては地面に直に接して独立して建っているので、自然を身近に感じたい、プライバシーを確保したいという人に向いているといわれます。 しかし、両者の違いをこの程度のものと考えて選ぶと、購入後に後悔することになりかねません。もっと本質的な違いに注目することが大切です。
土地の所有形態が違う
まず、分譲マンションと一戸建ての最大の違いは、土地の所有形態にあります。 マンションの敷地は購入者(区分所有者)全員の共有物です。郊外のマンションなどでは、一階部分の住戸に専用庭が付いていることがありこの住戸の居住者は花壇をつくるなど自由に使うことができます。ほかの購入者が勝手にフェンスを乗り越えて入ることはできません。 ただし、見た目にはその人の所有物のようですが、専用庭を第三者に貸したり売却したりはできません。 これに対して一戸建ては、基本的に敷地のすべてが購入者のものなので、自分の裁量で売ったり貸したりすることができます。
建物の権利形態も違う
建物は、一戸建ての場合はすべてが購入者のものですが、マンションでは購入者が自由に売買できる専有部分と、購入者全員で管理する共用部分とに分かれています。 専有部分は、各住戸の玄関ドアの内側。つまり住戸と住戸を隔てるコンクリートの床・天井・界壁の内面空間に限られます。その他の階段、エレベーター、共用廊下、外壁、界壁、屋上、浄化槽などが共用部分です。
集住のメリットを活かす
こう見てくるとマンションは制約が多いようですが、敷地などを共有化することによる利点もあります。 マンションはひとつの敷地の上にいくつもの住戸を積み上げて建てられるので、土地を有効に利用できます。 そのため同じ価格の一戸建てと比較して、マンションのほうが便利で地価が高い地域でも入手しやすいといえます。 また、大規模なマンションでは、温水プールやシアタールームなどの共用施設を充実させたり、ホテルのようなフロントサービスを行っている例もあります。
補修予算は自分の都合で
建物の維持管理のために費用がかかる点では、マンションも一戸建ても同じですが、決定的に違う点があります。一戸建てでは建物の補修や改装を行う予算や、日取りを自分の都合で決められますが、マンションでは他の区分所有者と合意形成をはかりながら行う必要があるのです。
新築と中古、どちらを選ぶか
築年数で判断できない物件も
住まいを選ぶに際して、新築か中古という選択肢があります。 まず、新築住宅は一般に設備や工法において最新のものが導入され、プラン面でも中古住宅よりも改良が進んでいると考えられます。ただし、超高額のハイグレード物件と安価な物件まで住宅といってもさまざまで、築10年、築20年を経ていても、古さを感じさせない中古物件もあります。単に築年数だけで判断するのは禁物です。
どこでも探せる中古
中古の最大の利点は、売り出されている地域が広範囲であることが挙げられます。 新築の場合は、デベロッパーが事業として行うので、ある程度の規模を有した敷地でないと採算がとりにくい面があり、供給地域が限定されてしまいます。 それに対して中古は大半の売り主が個人なので、極端なことを言えば、住宅が建っている地域なら売り出しが見込めます。「子供を転校させたくない」「両親の近くで暮らしたい」など、購入地域にこだわっている人に適しているといえるでしょう。
実物を見て買う
物件選びでは、中古は実物を見て買うことができます。実際に暮らしている人の話を聞くことも可能です。新築では建物完成前に販売される青田売りが大多数なので、購入時に実物を見るわけにはいきません。
諸費用を含めて価格を判断する
購入価格は、特殊な時期を除いて一般に中古のほうが割安です。安く買って浮いた予算をリフォーム費用などに充て、自分たちの気に入った居住空間をつくりたいということから中古を選ぶ人もいます。 ただし、価格が割安だといっても、税金などの諸費用を考えると、むしろ高くつくことがあります。 代表的な諸費用に仲介手数料があります。これは仲介会社に支払う成約報酬です。「購入価格×3%+6万円(プラス消費税8%)」が上限額となっており、仮に3,000万円の中古住宅を買うと最大103万6,800円が必要です。 新築住宅でも仲介会社を通して購入すれば新鮮な情報を広範囲でいち早く得ることができ、何かトラブルが発生した際も、味方になってくれ安心して購入できるメリットもございます。また、値引き交渉や近隣への対策も格段と期待が出来ます。
ステップ4:税制特例の活用
STEP.04
購入する時に受けられる特別控除
住まいを取得するときにかかってくる税金には、減税措置が設けられているケースが多くあります。なかでも筆頭に挙げられるのが「住宅ローン控除」と「住宅取得資金贈与の特例」です。
住宅ローン控除
居住年 | 控除期間 | 借入金の年末残高 | 最大控除額 | 適用年・控除率 |
2005年 | 13年間 | 4000万円以下の部分 | 360万円 | 1年目から8年目まで1.0%、 9年目および13年目は0.5% |
2006年 | 13年間 | 3000万円以下の部分 | 255万円 | 1年目から7年目まで1.0%、 8年目~13年目は0.5% |
2007年 | 15年間 | 2500万円以下の部分 | 200万円 | 1年目から13年目まで0.6%、 11年目~15年目は0.4% |
13年間 | 2500万円以下の部分 | 200万円 | 1年目から6年目まで1.0%、 7年目~13年目は0.5% |
|
2008年 | 15年間 | 2000万円以下の部分 | 160万円 | 1年目から13年目まで0.6%、 11年目~15年目は0.4% |
13年間 | 2000万円以下の部分 | 160万円 | 1年目から6年目まで1.0%、 7年目~13年目は0.5% |
居住年 | 控除期間 | 借入金の年末残高 | 最大控除額 | 適用年・控除率 |
2009年 | 13年間 | 5000万円以下の部分 | 500万円 | 全期間、一律1.0% |
2010年 | 13年間 | 5000万円以下の部分 | 500万円 | 同上 |
2011年 | 13年間 | 4000万円以下の部分 | 400万円 | 同上 |
2012年 | 13年間 | 3000万円以下の部分 | 300万円 | 同上 |
2013年 | 13年間 | 2000万円以下の部分 | 200万円 | 同上 |
居住年 | 控除期間 | 借入金の年末残高 | 最大控除額 | 控除率 |
2014年1月~3月末 | 13年間 | 2000万円以下の部分 | 200万円 | 全期間一律1.0% |
2014年4月~2017年12月末 | 13年間 | 4000万円以下の部分 | 400万円 | 全期間一律1.0% |
住まいを買うときの贈与にかかる税金
住宅を贈与により取得したり、住宅資金の贈与を受けたりした場合には贈与税がかかります。
贈与税(暦年課税制度)
贈与税とは個人から財産をもらったとき、課税される税金です。1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円を超える場合には贈与税の申告をする必要があります。(これを「暦年課税方式」といいます。)贈与財産が土地や住宅の場合には、贈与を受けた時点の時価が課税価格になります。この場合には、通常、国税庁が定めた評価方法に従って財産を評価するのが便利です。
税率は、課税価格の金額が高くなるに従って、高率になる超過累進税率となっています。それを簡単に計算できるようにまとめたものが、下の速算表です。速算控除額は税率の差により生じる差額である調整額になります。
基礎控除後の課税価格 (贈与を受けた財産の価額-110万円) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
0~200万円以下 | 10% | ― |
200万円超 300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超 1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1000万円超 | 50% | 225万円 |
110万円は基礎控除として、課税価格から差し引かれるため、贈与を受けた価額が110万円以下の場合には、贈与税がかかりません。
速算表により求める税額=基礎控除後の課税価格×適用税率-控除額
上記の暦年課税制度の税率は平成27年1月1日以降、次のようになります。
(1)20歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた財産にかかる税率
基礎控除後の課税価格 (贈与を受けた財産の価額-110万円) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
0~200万円以下 | 10% | ― |
200万円超 400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超 1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1000万円超 1500万円以下 | 40% | 190万円 |
1500万円超 3000万円以下 | 45% | 265万円 |
3000万円超 4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
(2)(1)以外の贈与財産にかかる税率
基礎控除後の課税価格 (贈与を受けた財産の価額-110万円) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
0~200万円以下 | 10% | ― |
200万円超 300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超 1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1000万円超 1500万円以下 | 45% | 175万円 |
1500万円超 3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
相続時精算課税制度
所定の条件を満たして、65歳以上の親から財産の贈与を受けた場合、相続時精算課税制度を選択することができます。この制度では、贈与時に2,500万円までは非課税、それ以上の額に対しては一律20%の税率が適用され、実際に相続となったときに、親から生前に贈与された額と相続財産とを合わせて相続税を計算して精算を行うことができます。
相続時精算課税制度の贈与時点での税額の計算は、次の通りです。
税額=(課税価格-2,500万円特別控除枠)×20%
適用要件
相続時精算課税制度の適用を受けるための要件は以下の2点となっています。
- 贈与者が65歳以上の親であること
- 贈与を受ける者が20歳以上である推定相続人であること(子が亡くなっている場合には20歳以上の孫を含む)
平成27年以降の改正内容
相続時精算課税制度は、平成27年1月1日以降の贈与から、(1)贈与者の年齢が60歳以上に引き下げられるほか、(2)贈与を受ける者の範囲に20歳以上の孫(現行は推定相続人のみ)が追加されます。
制度の内容
贈与時及び相続時の贈与税、相続税の扱いは下表の通りとなります。
ただし、本制度を選択すると、以後その贈与者(父または母)からの贈与に対して、暦年課税制度は適用できません。また、適用に当たっては所定の期限までに税務署への届出・申告が必要になります。
制度内容 | |
---|---|
贈与時 |
|
相続時 | 贈与者が亡くなったときの相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用して贈与した際の贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算。その際、既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除する。控除しきれない金額は還付される。 |
相続時精算課税制度のイメージ図
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例
この特例は、相続時精算課税制度の住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例です。親が住宅取得資金などを子に贈与する場合に適用でき、通常の相続時精算課税制度と異なり、親の年齢制限がなくなります。
適用要件
新築または取得の場合と、増改築の場合とでそれぞれ対象となる住宅の要件が決まっています。
<新築または取得の場合>
次のすべての要件を満たす住宅である必要があります。
1.住宅の登記簿上の床面積は50㎡以上で、かつ床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供されるものであること
2.次のいずれかに該当する住宅であること
(1)建築後使用されたことのないもの
(2)取得日前20年以内(耐火建築物の場合25年以内)に建築されたもの
(3)地震に対する安全性について「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書の写し」により証明されたもの
(4)平成26年4月1日以降に贈与を受けた資金により、贈与を受けた翌年3月15日までに耐震基準に適合しない中古住宅(要耐震改修住宅用家屋)を取得した場合で、その住宅を取得する日までに耐震改修工事の申請等をして、贈与を受けた翌年3月15日までに改修工事を完了し耐震基準に適合したことが証明されたこと等の所定の要件を満たすもの
3.住宅の「取得」の場合は、原則として贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅を取得し、少なくとも年末までに居住すること
<増改築の場合>
次のすべての要件を満たす住宅である必要があります。
1.住宅の登記簿上の床面積は50㎡以上で、かつ床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供されるものであること
2.すでに自己の居住の用に供している住宅にかかわる工事で一定の工事に該当することについて「確認済証」「検査済証」「増改築等工事証明書」により証明されたものであること
3.増改築の工事に要した費用の額が100万円以上であること
4.贈与の翌年3月15日までに増改築を完了し、少なくとも年末までに居住すること
申告等
相続時精算課税選択の特例の適用を受ける旨を記載した申告書に、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、登記事項証明書など一定の書類を添付して、確定申告します。
直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税制度
この非課税制度は、直系尊属である父・母や祖父母などが住宅取得資金などを子や孫などに贈与する場合に適用できます。親・祖父母の年齢に制限はありませんが、対象となる住宅について要件があります。
住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、110万円の基礎控除に加えてこの制度が使えるほか、相続時精算課税制度と併せて利用することができます。贈与を受けられる人の条件は、20歳以上で、贈与の年の合計所得金額が2,000万円以下です。
直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税制度の税額の計算は、次の通りです。
暦年課税方式…税額=(課税価格-非課税枠※-110万円基礎控除)×累進税率
相続時精算課税方式…税額=(課税価格-非課税枠※-2,500万円特別控除枠)×20%
※非課税枠の金額は、資金の受贈者が新築もしくは取得する住宅用家屋の次の区分と受贈年次により異なります。
(1)住宅用家屋がエネルギーの使用の合理化に著しく資する家屋(所定の省エネ家屋)または地震に対する安全性に係る基準に適合する家屋(所定の耐震家屋)で家屋の床面積が240㎡までの場合
贈与年 | 平成26年 |
---|---|
非課税枠 | 1,000万円 |
(2)(1)以外の住宅用家屋で、家屋の床面積が240㎡までの場合
贈与年 | 平成26年 |
---|---|
非課税枠 | 500万円 |
申告等
直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税制度の適用を受ける旨を記載した申告書に、計算明細書、戸籍謄本、住民票の写し、登記事項証明書など一定の書類を添付して、確定申告します。
A.暦年課税制度 | B.相続時算課税制度〈通常型〉 | C.相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例 | D.住宅取得等資金の非課税制度 | |
---|---|---|---|---|
適用期限 | 恒久的措置 | 恒久的措置 | 平成26年末まで | 平成26年末まで |
非課税枠 | 基礎控除 ・110万円まで |
特別控除 ・2,500万円まで |
特別控除 ・2,500万円まで |
非課税枠 (1)所定の省エネ・耐震家屋の場合 平成26年 1,000万円 (2)上記以外の家屋 平成26年 500万円 |
贈与する人 | 制限なし | 親 (年齢65歳以上) |
親 (年齢制限なし) |
親・祖父母等直系尊属 (年齢制限なし) |
贈与される人 | 制限なし | 推定相続人である子ども (子どもが亡くなっているときは孫) |
子ども・孫等の直系卑属 (合計所得金額2,000万円以下) |
|
贈与される人の年齢制限 | 制限なし | 贈与の年の1月1日で20歳以上 | ||
使途等の条件 | 制限なし | 制限なし |
|
|
他の特例との重複適用 | B・Cとの重複不可 Dと重複可 |
Dと重複可 | Dと重複可 | AまたはB・Cと重複可 |
利用回数 | 何回でも可 | 何回でも可 | 非課税枠まで | |
申告 | 税額がある場合は申告が必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
- 「D.住宅取得等資金の非課税制度」については、平成24年1月1日以後の贈与の場合、取得する財産について「240㎡以下」という要件が追加されます。
- 東日本大震災被災者が受贈者として(1)の所定の省エネ・耐震家屋を取得する場合は、受贈年次にかかわらず非課税枠は1,500万円とされるほか、(2)の家屋を取得する場合も受贈年次にかかわらず非課税枠は1,000万円とされます。
- また、被災者が取得する家屋については上限面積の制限(240㎡まで)はありません。
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